←前のページへ次のページへ→
“寝台特急”の変遷

社会交通工学科 1年 石田 功

1.はじめに

 ビジネスや旅行で長距離を移動する際、夜間に移動することは時間的・経済的にも有効である。鉄道には夜間移動するために夜行列車が運転されており、都市間を夜行で結んでいる。夜行列車にも快速や急行、特急があり、特に寝台車で組成された特急列車を“寝台特急”と呼ぶ。また、一部の寝台特急は“ブルートレイン”とも呼ばれ愛されてきた。しかし、平成になってから新幹線や飛行機・高速バスに利用者がシフトし、多くの寝台特急が廃止となった。そして、今もなお寝台特急は減り続けている。この寝台特急の過去の栄光と現状について特集する。




停車中のEF66




2.変遷

 初のブルートレイン“20系”が登場したのは半世紀も前の1958年。今でこそ僅かとなった寝台特急を“20系”の登場から寝台特急の輝かしき時代を経て、平成に至るまでを大まかに振り返ってみる。


表‐1 寝台特急の変遷

昭和33年10月「あさかぜ」が東京−博多間に登場
昭和34年7月「さくら」が東京−長崎間に登場
昭和35年7月「はやぶさ」が東京−西鹿児島間に登場
昭和38年6月「みずほ」が東京−熊本・長崎間に登場
昭和39年10月「はくつる」が上野〜青森間に登場
「みずほ」の大分編成が独立する形で「富士」が東京−大分間に登場
昭和40年10月「あかつき」が新大阪−西鹿児島・長崎間に登場
「さくら」が東京−長崎・佐世保間に登場
「富士」が東京−西鹿児島間に延長
「ゆうづる」が上野−青森間に登場
昭和42年10月「月光」が新大阪−博多間に登場
昭和43年10月「あかつき」が新大阪−西鹿児島・佐世保間に1往復に増発
「あさかぜ」が東京−博多間に1往復増発
「金星」が名古屋−博多間に登場
「月光」が新大阪−博多間に不定期列車1往復増発
「彗星」が新大阪−宮崎間に登場
「日本海」が大阪−青森間に登場
「はやぶさ」が東京−西鹿児島・長崎間に変更
「明星」が新大阪−熊本間に登場
「ゆうづる」が上野−青森間に1往復増発
昭和45年3月「明星」が新大阪−熊本間に1往復増発
  〃  10月「あさかぜ」が東京‐下関間に1往復増発 (3往復体制となる)
「きりしま」が京都‐西鹿児島間に登場
「彗星」が新大阪‐都城間に延長
「ゆうづる」が上野‐青森間に1往復増発
昭和47年3月「あかつき」が新大阪−熊本・長崎間に1往復増発
「出雲」が東京‐浜田間に登場
「月光」が新幹線岡山開業に伴い岡山‐西鹿児島間に変更
「彗星」が新大阪‐大分間に1往復増発
「明星」が新大阪・京都‐熊本・博多間に2往復増発
「ゆうづる」が上野‐青森間に1往復増発
昭和47年10月「あかつき」が新大阪‐熊本 間に1往復増発
「つるぎ」が大阪‐新潟間に登場
「ゆうづる」が上野‐青森間に1往復増発
昭和48年10月「あかつき」が
@新大阪‐西鹿児島間に2往復
A新大阪‐西鹿児島・長崎間に1往復
B新大阪‐長崎・佐世保間に1往復
C新大阪‐長崎間に1往復
D新大阪‐佐世保間に1往復
に変更
「あけぼの」が上野‐秋田間に1往復増発
「月光」の臨時列車定期化
「彗星」が新大阪‐大分間に2往復増発
昭和49年4月「あかつき」が新大阪‐熊本間に1往復増発(7往復体制となる)
「彗星」が
@新大阪‐宮崎間に1往復増発
A新大阪‐大分間の1往復を新大阪‐宮崎間
に延長(5往復体制となる)
昭和50年3月「あかつき」が新大阪‐長崎・佐世保間の列車の愛称に変更
⇒「あかつき」が
@新大阪(下りは大阪)‐長崎・佐世保間に1往復
A新大阪‐長崎間に1往復
B新大阪(上りは大阪)‐佐世保間に1往復
となる
「安芸」が新大阪‐下関間に登場
「あさかぜ」の東京‐博多間の1往復が臨時に変更
「いなば」が東京‐米子間に登場
「紀伊」が東京‐紀伊勝浦間に登場
・・・「きりしま」が「明星」に吸収されることにより廃止
・・・「月光」が廃止
「彗星」の ・新大阪‐大分間の1往復
・新大阪‐宮崎間の1往復廃止
「なは」が新大阪‐西鹿児島間に登場
「日本海」が大阪‐青森間に季節列車を1往復増発
「北陸」が上野‐金沢間に登場
「北星」が上野‐盛岡間に登場
「明星」が
@新大阪‐熊本間に1往復
A新大阪‐西鹿児島間に定期列車1往復+季節列車1往復増発
「ゆうづる」が上野‐青森間に2往復増発
昭和53年10月「あかつき」が
@大阪‐長崎・佐世保間に1往復
A新大阪‐長崎・佐世保間に1往復に変更
・・・「安芸」が廃止
「出雲2・3号」が東京‐出雲市間に「いなば」を延長する形で登場
「なは」が京都‐西鹿児島間に延長
「日本海」の季節列車が定期化
「明星」の
・新大阪‐熊本間の定期列車1往復
・新大阪‐西鹿児島間の季節列車が廃止され、
・新大阪‐熊本間の1往復を季節列車化
昭和55年10月「彗星」の新大阪‐大分間の1往復廃止
「なは」が新大阪‐西鹿児島間に短縮
「富士」が東京‐宮崎間に短縮
「明星」の
・新大阪‐熊本間の季節列車1往復廃止
・新大阪‐西鹿児島間の1往復を季節列車化
・「ゆうづる」の上野‐青森間の2往復廃止
昭和57年11月「あけぼの」が上野‐青森間に1往復増発(3往復体制となる)
・・・「金星」が廃止
「出羽」が上野‐秋田間に登場
「はくつる」が上野‐青森間に1往復増発
・・・「北星」が廃止
「明星」の
・新大阪‐博多間の定期列車1往復
・新大阪‐西鹿児島間の季節列車1往復廃止
「ゆうづる」の上野‐青森間の2往復廃止
昭和59年2月「あかつき」の大阪‐長崎・佐世保間の1往復を新大阪‐長崎間に変更
・・・「紀伊」が廃止
「彗星」の新大阪‐宮崎間の1往復廃止
昭和60年3月「はくつる」の上野‐青森間の1往復を季節列車化
「ゆうづる」の上野‐青森間の2往復廃止
昭和61年11月「あかつき」の新大阪‐長崎間の1往復廃止
・・・「明星」が廃止
「ゆうづる」の上野‐青森間の1往復を季節列車化
昭和63年3月「あけぼの」が「北斗星」の登場により1往復廃止
「日本海」の1往復を大阪‐函館に延長
「北斗星」が上野‐札幌間に定期2往復・臨時1往復登場





- 26 -
次のページへ→